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  • 山本 久里子
  • No.MW012 山本 久里子 KURIKO YAMAMOTO

    現在はNHK文化センター名古屋教室、イオンカルチャークラブ八事でウイスキーセミナーの講師を務める。ウイスキーラバーズ名古屋実行委員。

マスター・オブ・ウイスキーを取得しようとしたきっかけ
2003年に『ヒゲのウヰスキー誕生す』(川又一英著/新潮社)を読み感銘を受けた山本さんは、以後、ウイスキーにハマり、2013年にウイスキーコニサーのエキスパート、翌年にはプロフェッショナルを取得。同時に竹鶴シニアアンバサダーにも任命された。「いつかはマスターを受験したいと思っていましたが、まとまった時間がとれず、伸び伸びになっていました」。そんな折、昨年5月に偶然「高峰譲吉」と出会う。「母の実家が金沢にあったので、金沢ふるさと偉人館に立ち寄ったんです。高峰譲吉の名は知っていましたが、金沢にゆかりのある人だとは知らず、展示の中にウイスキーの文字があり、興味を持ちました」。高峰譲吉は消化酵素材「タカジアスターゼ」の発見や、「アドレナリン」の結晶化に成功した世界的な化学者で、アメリカで麹を使ったウイスキーの製造を目指した人物でもある。昨年が高峰博士の没後100年の節目だったこともあり、なんとしても今、博士のウイスキー造りの想いを知ってほしい、との願いが、MW受験に挑む強い原動力ともなった。
論文について
そこから論文執筆に取り掛かったが、まずは論文を書く前提となる麹の基礎知識から学んだ。1週間金沢に泊まり込み、金沢と高岡の図書館に通い詰め、文献や資料を読み込むこともあったという。「主題だけではなく、その時代の社会情勢や状況を多角的に追うことで、見えてくるものが多いと感じました。これからもライフワークとして、博士の足跡を追っていきたいです」。
現在~今後について
現在は名古屋のNHK文化センター名古屋教室とイオンカルチャークラブ八事でウイスキーセミナーを行っている。イオンカルチャークラブでのセミナーの後には、そのまま受講生と一緒にイオン内の酒販店でボトルを購入することも。そんな山本さんの明るさ、親しみやすさが8年間セミナーが続く理由かもしれない。度数の高さゆえに敬遠されることもあるウイスキーだが、日常に気軽に取り入れる提案をして、ウイスキーを楽しむ人の裾野を広げたいと、今後の展望を語る。「いつかウイスキーを使った料理のレシピ本を出したいです。スイーツに取り入れたり、和食と合わせたり、すでにレシピは100個以上あるんですよ」夢の実現に向け、ますます活動の勢いは加速していきそうだ。

『ウイスキーガロア』Vol.38/P.94より引用