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  • 鈴木 勝二
  • No.MW002 鈴木 勝二 SHOJI SUZUKI

    第2代マスター・オブ・ウイスキー。
    1969年福島県生まれ。埼玉県草加市にある「Scotch Bar John O’Groats(ジョン オグローツ)」 オーナーバーテンダー。“気がついたら好きになっていた”というほどウイスキー好き。バーには1000本以上のウイスキーを揃える。ウイスキーエキスパート、プロフェッショナルともに第1回で合格。2014年には最難関のマスター・オブ・ウイスキーに合格している。現在はバーテンダーとして活躍するかたわら、ウイスキー検定対策講座講師、ウイスキー専門誌『ウイスキーガロア』のテイスターを務めている。

ウイスキー文化の底上げを目指して
今回、「マスター・オブ・ウイスキー」の称号を手にしたのは、埼玉県草加市でモルトバー「ジョンオグローツ」を営む鈴木勝一さん。鈴木さんは、「ウイスキーエキスパート」「ウイスキープロフェッショナル」ともに第1回目の試験で合格。第1回と第2回の「マスター・オブ・ウイスキー」試験も受験し、今回、3度目のチャレンジで見事に。合格を果たした。
こんなに面白い人はいないと思った
いまや全国のウイスキーファンに知られる。「ジョンオグローツ」という店名は、鈴木さんが20歳の頃に訪ねたという、スコットランド最北端の土地の名前。店内に所狭しと並ぶ数百本のボトルもスコッチがメインだが、今回の試験で課された論文で、鈴木さんは「竹鶴政孝を支えたモチベーションとジャパニーズウイスキーの未来」という。テーマを選んだ。
「幼い頃から家にブラックニッカのボトルがありましたし、竹鶴さんの自伝などを読んで、こんなに面白い人はいないと思った。確かに店としてはスコッチのイメージが強いかもしれませんが、「思い入れのある蒸留所は?」と聞かれたら、僕は迷わずに余市を挙げます。それに、そもそも現在のように私たちがスコッチやバーボンを楽しむのも、日本のウイスキーあってこその話ですからね」
ウイスキーを愛する一人のバーテンダーの視点から
ウイスキーを愛する一人のバーテンダーの視点から、ジャパニーズウイスキーの黎明期の核心に迫った論文は、400字詰め原稿用紙で約8枚にも及ぶ力作。「先日、土屋さんから竹鶴ノートの現代語版をいただいたのですが、それを読んでいると新しい発見もありました。今後は試験に関係なく、ウイスキー好きの皆さんに読んでもらえるような、続編を書きたいと思っています」
酒類業界に恩返しがしたい
「どうやって勉強するかということよりも、私の場合は、なぜ自分に資格が必要なのかという原点に立ち返ることが大切でした」と鈴木さん。自身にとっては今回が三度目の正直。「マスター・オブ・ウイスキー」に挑み続けた理由を尋ねると、「酒類業界に恩返しがしたいから。それに、銅メダルと銀メダルを獲ったら、やっぱり金メダルも欲しくなるじゃないですか」と屈託なく笑う。
「これからは自分が得たウイスキーの知識や経験を、お店に来てくださるお客様や、志を同じくするバーテンダーの皆さんに対して、どんどん発信していきたいと考えています。そうすることで、少しでも飲み手の底上げに貢献できれば嬉しいですね」 全国にモルトバーは数あれど、「マスターオブ・ウイスキー」の称号を手にしたバーテンダーはただ一人。論文の続編もさることながら、今後の鈴木さんの活躍に大いに注目したい。

『ウイスキーワールド』2014 APRIL P.34-36より引用